こんにちは!中小企業診断士のなかりょです。
「売上は前年より増えているのに、なんで利益がほとんど増えていないんだ??」
このような悩みを抱えている企業は少なくありません。
売上が増えれば、普通は利益も増えるように思いますよね?
実際には、原材料費や仕入価格、人件費、外注費、広告費などのコストが売上以上のペースで増えると、売上が伸びても利益も同じように伸びてはくれません。
売上は増えていても、利益率の低い商品やサービスの構成比率が高まっていることで、会社全体の利益率が下がっているケースもあります。
重要なのは、
「売上がいくら増えたか」だけを見るのではなく、売上がどれだけ利益に変わっているかを確認することです。
本記事では、売上が増えても利益が増えない主な原因を整理したうえで、自社のどこを確認すればよいのか、利益を残すために何を見直せばよいのかを解説したいと思います。
売上が増えても利益が増えないのはなぜ?

売上と利益は別物
「売上が増えれば、普通は利益も増えるよね」と考えてしまいがちですが、売上と利益は別物です。
商品やサービスを販売して得た売上から、仕入れや原材料などの売上原価を差し引くと粗利益(売上総利益)になります。
そこから人件費や広告宣伝費、家賃などの販売費及び一般管理費(販管費)を差し引いたものが営業利益です。
売上が増えても、それ以上のペースでコストが増えれば、利益は増えません。
売上よりコストの増加率が大きいと利益は減る
例えば、
前年の売上が1,000万円、売上原価が600万円、販管費が300万円だったとします。
この場合、営業利益は100万円(1,000万-600万-300万=100万)ですよね。
翌年、売上が1,200万円まで増えたとしましょう。
でも売上原価が780万円、販管費が380万円まで増えると、営業利益は40万円に減ってしまいます。
売上は増えているのに利益は減るということもあります。
「売上が増えた」という事実だけでは、会社の収益性が改善したとは判断できません。
まず「利益率」を見る
そこで確認したいのが、粗利益率や営業利益率です。
売上高だけでなく、「売上のうち、どれだけ利益として残っているか」を確認することで、売上増加が本当に利益につながっているのかを判断できます。
売上が増えているにもかかわらず利益率が低下しているなら、
コスト構造や商品構成などに問題がないか確認する必要があります。
売上が増えても利益が増えない5つの原因

① 利益率の低い商品・サービスの売上が増えている
売上が増えたからといって、
その商品・サービスが会社に大きな利益をもたらしているとは限りません。
例えば、
A商品は売上100万円で粗利益率40%、B商品は売上200万円で粗利益率10%だったとします。
B商品の販売量が増えれば売上は大きく伸びますが、粗利益率が低いB商品の割合が大きくなるので会社全体の利益率は低下する可能性があります。
商品・サービスごとの売上高や粗利益率を確認して、
「何が売れているか」と「何が儲かっているか」を分けて考えることが重要です。
② 原材料費・仕入価格などの原価が上昇している
原材料費や仕入価格が上昇しているにもかかわらず、
販売価格を据え置いていると、売上が増えても利益が増えないことがあります。
昨今は物価高や円安の影響もあり、この状況に置かれている会社は少なくありません。
例えば、
商品Cの販売価格は100円、仕入価格は50円とすると粗利益単価は50円です。
販売数量が100個→120個に増えたことで売上が20%増加しても、仕入価格が50円→65円と30%増加するとします。
結果として、粗利益は5,000円 (当初の粗利益単価50円×当初の販売数量100個) → 4,200円 (仕入価格上昇後の粗利益単価35円×増加後の販売数量120個)となり、800円減少してしまいます。
売上高に対して原価率の高い業種では、
売上高だけでなく、売上原価や粗利益率の変化を確認することが重要です。
③ 値上げできず、利益率が低下している
②でお話したように、原材料費や人件費などのコストが上昇しているにもかかわらず、販売価格を据え置いていると利益は徐々に減少します。
つまり利益率が低下していきます。
「売上を増やすこと」だけを考えるのではなく、コストの上昇を適切に価格へ反映できているかを確認することも利益を確保するうえで重要です。
④ 人件費・外注費などのコストが増えている
売上を増やすために人員を増やしたり、業務量の増加に対応するため外注を増やしたりすると、もちろん売上とともに人件費や外注費も増加します。
事業の成長に伴うコスト増加は必ずしも悪いことではありません。
ですが、売上の増加以上に人件費や外注費が増えている場合、利益が圧迫される可能性があります。
売上を伸ばすために、どの程度のコストが必要だったのかをしっかり確認することが重要です。
⑤ 広告費・販促費をかけすぎている
売上を増やすために広告やキャンペーンなどの販促活動を強化した結果、売上は増えたものの利益があまり残らないケースもあります。
例えば、広告費を50万円増やして売上が100万円増えたとしましょう。
その売上から原価などを差し引いて、実際に増えた利益が40万円だったとすると、広告費を増やしたことで利益が10万円減っています。
広告や販促施策は「売上がどれだけ増えたか」だけでなく、「かけた費用に対してどれだけ利益が生まれたか」という視点で評価する必要があります。
自社の「利益が増えない原因」を確認する3ステップ
今まで見てきたように、売上が増えているのに利益が増えない原因を把握するには、売上高だけを見ていてはいけないことをお分かりいただけたと思います。
「売上がどれだけ利益に変わり、どこでコストが増えているのか」を順番に確認していきましょう。

STEP1|売上と粗利益を前年と比較する
まず確認したいのが、売上高・売上原価・粗利益・粗利益率の4つです。
前年と比較して売上がどの程度増えたのか、
その一方で売上原価がどれだけ増えたのかを確認しましょう。
例えば、売上が20%増えているのに粗利益が5%しか増えていないのであれば、
売上の増加に対して原価の負担が大きくなっている可能性があります。
「売上の増加率」と「粗利益の増加率」を比較することで、売上の増加がどの程度利益につながっているのかを確認できます。
STEP2|販管費がどれだけ増えたか確認する
次に、粗利益から営業利益に至るまでに発生する販売費及び一般管理費(販管費)を確認します。
特に、
- 人件費
- 外注費
- 広告宣伝費
- 旅費交通費
- その他の経費
などについて、前年からどの程度増えているかを確認しましょう。
売上が増えれば、事業拡大に伴って経費が増えること自体はよくあります。
重要なのは「売上増加に見合ったコストなのか」という視点です。
売上が10%増えたのに販管費が20%増えているのであれば、利益が増えにくくなっている原因を詳しく確認する必要があります。
STEP3|商品・サービス別に「何が売れて、何が儲かっているか」を確認する
最後に確認したいのが、商品・サービス別の収益性です。
会社全体の売上と利益だけを見ていると、
「どの商品・サービスが利益を生み出しているのか」が分かりません。
例えば、
A商品は売上1,000万円・粗利益200万円、B商品は売上500万円・粗利益250万円だったとします。
この場合、売上はA商品の方が大きいものの、粗利益はB商品の方が大きくなっています。
つまり、「売上上位の商品=利益上位の商品」とは限りません。
商品・サービスごとに売上高、粗利益、粗利益率などを確認し、
「何が売れているか」だけでなく「何が儲かっているか」を把握しましょう。
特に注意したいのが、売れているものの利益が薄い商品・サービスに、営業人員や広告費などの経営資源を使いすぎているケースです。
売上を増やすことだけを目標にするのではなく、
利益への貢献度を踏まえて、どの商品・サービスに力を入れるべきかを判断することが重要です。
売上増加を利益増加につなげるために見直したいこと
売上が増えても利益が増えない場合は、単純に「もっと売る」ことを目指すのではなく、売上が利益につながる仕組みができているかを見直してみましょう。

利益率の高い商品・サービスに注力する
売上を増やすことだけを考えるのではなく、
どの商品・サービスがどれだけ利益を生み出しているかを確認しましょう。
売上高が大きくても利益率が低い商品ばかりを販売していると、
売上が増えても利益は思うように増えません。
商品・サービスごとの利益額や利益率を比較し、利益への貢献度が高いものに営業活動や販促などの経営資源を重点的に配分することが大切です。
原価上昇を価格に反映する
原材料費や仕入価格、人件費などが上昇している場合、そのコストを自社だけで吸収し続けると、利益率は徐々に低下してしまいます。
売上を維持・拡大することだけでなく、コストの上昇を踏まえた適正な価格設定ができているかを見直しましょう。
広告・販促は「売上」ではなく「利益」で評価する
広告や販促によって売上が増えても、それだけで施策が成功したとは限りません。
広告費を増やして売上が増えたとしても、その売上から原価や広告費などを差し引いた結果、ほとんど利益が残っていないのであれば改善の余地があります。
広告・販促施策は「どれだけ売上が増えたか」だけでなく、「最終的にどれだけ利益が残ったか」という視点で評価しましょう。
売上を増やす前に「利益が残る構造」をつくる
売上を増やすことは、会社を成長させるうえで重要です。
しかし、利益が残らないまま売上だけを追いかけても、経営はなかなか安定しません。
経営の安定化を図るうえで最も重要なのが、
利益率やコスト構造を把握し、「売上が増えるほど利益も増える」状態をつくることです。
そのうえで、広告・営業・新規事業などの成長施策を検討すると、売上の増加をより確実に利益につなげられるようになります。
まとめ|売上を増やすだけでなく「利益が残る構造」を作りましょう

いかがだったでしょうか?
売上が増えているのに利益が増えない場合、単純に「もっと売上を増やそう」と考えるのは危険です。売上の増加=利益の増加ではないからです。
まずは、売上高だけでなく、粗利益や販管費が前年と比べた際の変化を確認しましょう。
さらに、商品・サービス別に「何が売れているのか」「何が利益を生み出しているのか」を把握することも重要です。
広告や販促などの施策についても、売上だけでなく、最終的にどれだけ利益が残ったのかという視点で評価する必要があります。
売上を増やすことだけを目指すのではなく、「売上が増えるほど利益も残る構造」をつくることが、持続的な会社の成長につながっていきます。
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