こんにちは。中小企業診断士のなかりょです。
令和6年度の二次試験で事例Ⅰ67点、事例Ⅱ70点、事例Ⅲ78点、事例Ⅳ77点の合計292点で合格しました。
「答案は予備校が出しているような完成度じゃないとダメ?」と不安に感じる方も多いと思います。
でも実際は、攻略ポイントを押さえて情報を整理して書く答案でも十分合格点を狙えます。
本記事では、令和6年度事例Ⅰの私の答案をもとに、設問ごとの解答意図や攻略ポイントを解説します。
この記事が少しでも皆さんの参考になればうれしいです。
令和6年度 事例Ⅰの答案例と考え方のポイント

事例Ⅰ 設問1(強み・弱み)の解答例
設問:
A社の2000年当時における⒜強みと⒝弱みについて、それぞれ30字以内で答えよ。
答案:
強み:協力会事業者との連携関係、自社倉庫での流通加工や適切な管理力。
弱み:旧態依然の管理体質、新規顧客の開拓力が弱い。
解答意図・攻略ポイント:
①後の設問で使う情報を優先する
与件文から「強み」「弱み」を抽出する際は、後の設問で活用する可能性のある情報を優先する。記述は最後に回し、候補だけメモしておく。
②時制に注意する
設問で問われている時点の状況を正確に捉える。今回は2000年当時のこと。
事例Ⅰ 設問2(プロジェクトチームと後継者)の解答例
設問:
なぜ、A社は首都圏の市場を開拓するためにプロジェクトチームを組織したのか。また、長女(後の2代目)をプロジェクトリーダーに任命した狙いは何か。100字以内で答えよ。
答案:
理由は旧態依然の組織文化と切離し組織の意思決定の迅速化、機動的な事業推進を図るため。狙いは物流企画、営業経験を活用し、後継者として経営者経験を蓄積し、前例にとらわれずに事業を推進させるため。
解答意図・攻略ポイント:
①設問には誠実に答える
「なぜ」と「狙い」の2つの質問に分けて明確に書く。
②一般知識を整理する
・プロジェクトチームの特徴
*少人数で意思決定が速い
*現行組織と切り離して
柔軟な動きが可能 など
・未経験後継者のリーダー任命
の背景
*経営者経験の蓄積
*前例にとらわれない
ハンドリング など
③あるべき姿を考える
首都圏の市場開拓に必要な要件(あるべき姿)を考える。ここでは長女の物流業界経験や営業力が生かされる組織体制が望ましい。
事例Ⅰ 設問3(Z社の依頼理由)の解答例
設問:
なぜ、Z社はA社に案件を持ちかけたのか。100字以内で答えよ。
答案:
県内進出に際し、A社の①適正在庫管理や機動的な商品補充力、②情報システムによる受注管理力、③地元特有の荷主ニーズへの対応力を活用し、3PL事業者を担当してもらうため。
解答意図・攻略ポイント:
①あるべき姿を考える
Z社の県内進出に必要な要件(あるべき姿)を考える。県内と首都圏事業部の区別は問わず、A社の能力を最大限活かしてもらうことが望ましい。
②強みを整理する
設問は「なぜZ社はA社に案件を依頼したか?」なので、Z社が享受したい価値としてA社の強みを整理する。
事例Ⅰ 設問4①(配置転換の狙い)の解答例
設問:
2024年の創業経営者の助言による配置転換の狙いは何か。80字以内で答えよ。
答案:
狙いは県内事業部と首都圏事業部の人や情報の連携を強化、県内事業部の古い慣習が残る組織体質からの脱却と組織の活性化を図り、全社の組織一体感を醸成すること。
解答意図・攻略ポイント:
①あるべき姿を考える
配置転換後のあるべき姿を考える。今後の3PL市場では競争激化が見込まれるため、A社は強みをより発揮出来る体制を構築して差別化を図ることが望ましい。
②課題を考える(現状とあるべき姿のギャップ)
事業部間の連携の強化、県内事業部の古い慣習が残る組織体質からの脱却、全社一体感の醸成が必要になる。
事例Ⅰ 設問4②(取引関係強化策)の解答例
設問:
A社がZ社との取引関係を強化していくために必要な施策を助言せよ。100字以内で答えよ。
答案:
両事業部のお互いの強み活用によるシナジーを発揮して多様化や複雑化した物流業務へ対応する。成果主義制度の導入により社員の業務意欲向上、事業部間の外部委託先を共有することで人手不足問題への対応を図る。
解答意図・攻略ポイント:
①設問には誠実に答える
与件文にある3つの課題全てへの対応策を整理する。課題と施策を1対1で対応させる。
課題①:競争激化 → 設問①で触れた強みの強化策で差別化
課題②:人手不足 → 人が確保できないので、自社内でやりくりする方法を検討
課題③:人事・処遇制度 → 成果主義制度など、鉄板の施策を盛り込む
事例Ⅰの全体攻略のポイント
事例Ⅰの本質は、環境変化に対して、自社の強みを活かし(弱みを克服して)持続的な成長を実現するための組織のあり方を考えることにあります。
与件文は、ほぼ共通した物語構造で書かれています。
読み進める際は、以下の流れを意識すると情報を整理しやすくなります。
①創業期の理念・成功要因
②事業拡張・成功体験(強み発見)
③事業環境の変化による衰退
④組織の硬直化・課題の表面化(弱み発見)
⑤新たな成長戦略と組織変革(強み獲得/維持/強化、弱み解消)
⑥今後の課題・方向性
まとめ

事例Ⅰは、“組織の現状” と “環境変化に対応する理想像”とのギャップを埋める物語です。
この意識で情報を整理することで、設問ごとの答案が一貫性を持ちます。
出題者の意図を外さなくなりますので、ぜひ意識して取り組んでみてください。
この記事が少しでも読者の皆さんのお役に立てると嬉しいです。
事例Ⅱ(マーケティング・流通)と事例Ⅲ(生産・技術)の記事はこちら👇





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